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福岡高等裁判所 平成4年(ネ)169号 判決 1992年10月29日

控訴人 瀬戸口陽子

右訴訟代理人弁護士 河西竜太郎

同 本多俊之

被控訴人 瀬戸口義久

右訴訟代理人弁護士 安永澤太

同 安永宏

主文

一  原判決を取り消す。

二  控訴人の本件訴えを却下する。

三  訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一本件控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  佐賀家庭裁判所伊万里支部昭和五七年(家イ)第三一号遺産分割調停事件につき、昭和五八年一一月八日成立した調停(以下「本件調停」という。)のうち、控訴人に関する部分は無効であることを確認する。

第二事案の概要

原判決の「事実及び理由」中、「第二 事案の概要」欄記載のとおりであるから、これを引用する。

第三当裁判所の判断

一1  <書証番号略>によれば、本件調停は、瀬戸口勝次(昭和五一年一一月一五日死亡)の遺産につき、同人の全共同相続人である控訴人、被控訴人、瀬戸口惣太、同健子、同和子の間で成立した遺産分割調停であることが認められる。

2  ところで、遺産分割調停は、被相続人の死亡により生じた共同相続人間の遺産共有状態を解消し、遺産を現実に共同相続人の間に分属させるために、共同相続人全員を当事者として、相続人間の利害対立を調整して行われるものであるから、成立した遺産分割調停の無効確認を求めるのは、新たな遺産分割の前提問題として、遺産がなお共同相続人間の共有状態にあるとするために調停の無効を確認する必要があることによるものと解される。

そうすると、遺産分割調停の無効確認訴訟は、共同相続人間における遺産確認の訴えの場合と同様、調停に関与した共同相続人全員が当事者となり、その間で合一にのみ確定する必要があるというべきであり、いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である(遺産確認の訴えが固有必要的共同訴訟であることにつき、最高裁昭和六〇年(オ)第七二七号平成元年三月二八日第三小法廷判決・民集四三巻三号一六七頁参照)。

二  してみると、控訴人の本件訴えは、共同相続人の一人にすぎない被控訴人を相手として本件調停中控訴人に関する部分が無効であることの確認を求めるもので、本件調停に関与した相続人全員を相手とするものではないから、訴えの利益を欠き、不適法であるといわざるを得ない。

よって、これと結論を異にし、控訴人の本件訴えを適法として本案について判断した原判決は不当であるから、これを取り消して本件訴えを却下することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 柴田和夫 裁判官 山口幸雄 裁判官 榎下義康は、転任につき署名押印できない。裁判長裁判官 柴田和夫)

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